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IoT関連技術と知財関連コラボシリーズ企画 第10回(最終回) ブロックチェーンとNFTの関係について分かりやすく解説します

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ついに一色先生とのコラボ企画ブログも10回目=最終回を迎えました。今回は現在メタバース、Web3において非常に語られることが多いブロックチェーン、NFTの関係について分かりやすく解説します。

 

1.今更なかなか聴けないブロックチェーンとは?NFTとは?

数年前から仮想通貨ブームに伴いブロックチェーンという言葉をよく聴くようになったと思います。最近、仮想通貨ブームは少し落ち着いたわけですが、その代わりにNFTと言う言葉と共に再びブロックチェーンという言葉が脚光を浴びています。

 

今回は、まずブロックチェーンとは?NFTとは?というベーシックな言葉の意味の説明から行なっていきたいと思います。

 

1-1.ブロックチェーンとは?

ブロックチェーンと言う言葉自体、凄くなじみにくい言葉ですね。どういうイメージをお持ちでしょうか?まずはブロックと言う言葉を聞くと、“迷惑メールをブロック”などのように、何かを防止する、抑止すると言うイメージをお持ちになるかたが多いと想像します。

 

このブロックチェーンでのブロックとは、“防止する”といった意味では無く、“一かたまり”という意味なのです。おもちゃの積み木がブロックのイメージにぴったりかと思います。

 

一方チェーンとは、鎖の意味です。

ブロックチェーンとはブロック=塊が チェーンのように結びついているイメージで有り、

実際には、重要なデータ(情報)を多数のブロックに分散して保有することによって、データの流出や改ざんが行なわれにくくなる仕組みのことです。

 

著者は通信技術が一つの専門分野ですが、2000年代前半、P2Pという技術が注目されていました。

 

P2PとはPeer to Peerの意味で、基地局、アクセスポイントを介さずに、端末同士が直接通信を行なった後、さらに他の端末と直接通信を行なって、ずっと通信をリレーしていくという技術です。

 

現代において、P2Pは無線LAN=Wi-Fiやブルートゥース・ローエナジー==Bluetooth Low Energy=BLEにおいてメッシュネットワークという方式で使用されています。

 

ブロックチェーンは通信技術としては、まさに上記のP2Pの技術を用いている訳ですが、P2Pと明らかに異なるのは、P2Pにおけるそれぞれの端末=(ブロックチェーンの世界においては“ブロック”)が特定のモノに関する情報を分散して保有するという技術になります。

 

これまでは重要なデータなどは、クラウドの一つのサーバの中に集中して保有されるのが当たり前でした。

 

それに対してブロックチェーンは、データが多数のブロックに分散されて格納されることにより、分散型台帳とも言われ、改ざんするとしたら全てのブロックのデータを集めないとできないので、改ざんが極めて難しい仕組みと言われています。

 

1-2. ブロックチェーンはいつ発明されたか?

 

これはご存じの方も多いかも知れませんが、2008年にサトシ・ナカモトという名前を使った人物(またはグループ)が、暗号通貨ビットコインの公開取引台帳としての役割を果たすために発明したと言われています。

 

なんといっても2010年代後半のビットコインを代表とする仮想通貨ブームで、ブロックチェーンという言葉が一挙に広まりました。

 

1-3. MFTとは?

NFTとはNon Fungible Token の略です。

日本語に訳すと、代替ができないトークン(印、もの、引換券・・・)という意味になります。

 

NFTの代表的な物として、絵画や写真などやフィギュアなどが取り上げられることが多いです。

 

一般に、そのような作品というのは世の中に偽物が沢山ある、かつ現代のIT、印刷技術の進歩によって偽物と本物の区別が非常につきにくくなっていますね。

 

しかし、NFTを用いると、その物の履歴とかがずっと記録されているために、本物と偽物を比べた場合に、古い歴史が刻まれている方が本物であると行った判断もできることになるのです。

 

この履歴自体どのように保存するかと言えば、ブロックチェーン技術を用いてネット上の様々なブロックに履歴のデータを分散格納することによって、改ざん困難にすることができるわけです。

 

すなわちNFTというモノを支える技術としてブロックチェーンが使われていることになります。

 

さらにNFTの最大の利点といえるのは、オリジナルの制作者が制作物における対価を得続けるしくみが作れると言うことです。

 

どういうことか説明します。

例えば、NFT化された1枚の絵画があるとします。今までの絵画であれば、画家が画商に絵画を販売した時点でしか、画家は絵画の対価を得ることができませんでした。

 

しかしNFTであれば、その絵画が次々に様々な人のところに転売されて例えば価格が上がる度に、

画家に対しても対価が支払えるような仕組みを取り入れることができるようになります。

 

オリジナルの芸術作品に対して、本物の唯一性を証明することを含めて、適切な価値を提供できる仕組みがNFTといえます。

 

現在注目を浴びているメタバースの世界でもNFTの作品が展示され、売買されるということが始まっており、メタバースの進化発展と共にNFTも成長すると言われています。

 

ただし、現在NFTの土地を買えば投資になるといった話が非常に多いので、そのあたりはよく自分の頭で判断してNFTに取り組むことも重要だと思います。

 

                                                                          (大森 正)

2.ブロックチェーン、NFTと知財権

2-1. ブロックチェーンと特許権

ブロックチェーンは、前述のように、2008年、インターネット上に発表された暗号通貨ビットコインに関する論文から始まりました。この論文により、初めてブロックチェーンの技術が世の中に知られるようになりました。2009年、ビットコインのソフトウェアが公開されたことにより、暗号通貨ビットコインの運用が始まりました。

 

ブロックチェーンのコア技術は公開技術であり、特許権は取得されていません。しかし、ブロックチェーンを用いた様々な技術やサービスは今後の事業展開が期待されており、多くの企業が積極的に特許出願を行っています。

 

現在、世界の国別特許出願数(2020年)は、中国が第1位で45.7%を占め、日本は3位で8.8%です。

そのうち、ブロックチェーンの特許取得数は、中国アリババが212件で単独企業第1位、その後、米国IBMの136件と続きます。このように、最近では、中国企業が積極的な特許出願を行っています。

 

参考)

【WIPO】2020年世界の特許出願件数は昨年の1.6%増 (三枝国際特許事務所)

https://www.saegusa-pat.co.jp/topics/11168/

中国アリババがブロックチェーン特許取得数で独走(あたらしい経済)

https://www.neweconomy.jp/posts/59371

 

2-2. NFTと著作権

電子データは、簡単にコピーできるため、権利を確保することが難しいという課題がありました。これに対して、NFTは、ブロックチェーン技術を用いることにより、偽造ができないようにコピーした電子データです。NFTにより、電子データのオリジナルとコピーを明確に区別することが可能になりました。また、NFTは、暗号通貨と同様にブロックチェーン技術を用いた取引が可能です。

 

そのため、NFTを利用したNFTアートと呼ばれる電子データの芸術作品が流通し始めています。また、創作性の問題から著作権法では保護されていない料理のレシピと味覚データを組合せたフードNFTという取組みも始まっています。

 

参考)

世界初の「フードNFT」を創出!健康チョコレートブランド、「メディカレート™」のレシピデータを提供(フードNFTコンソーシアム)

https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000099123.html

 

一方、NFTの取引は暗号通貨を用いて行われること、所有権が移転する訳ではないことなど、制度や法律上の問題が指摘されています。さらに、NFTを悪用した詐欺が発生していることも問題視されています。

 

参考)

【弁護士が解説】 NFTとは? 法規制と実務上の留意点 (BUSINESS LAWYERS)

https://www.businesslawyers.jp/articles/942

 

たとえば、米国では、NFTを用いた電信詐欺とマネーロンダリングにより260万US$(約3.5億円)相当の被害を与えた開発者が逮捕されています。

 

参考)

被害額3.5億円相当か、米司法省がNFT「Baller Ape Club」開発者を出口詐欺で起訴(COINPOST)https://coinpost.jp/?p=364182

 

一方、NFTを今後の新たなデジタル分野の技術革新と捉えて、関連する法律を整備し、有効活用すべきであるという政策提言「NFTホワイトペーパー(案)」が公開されています。この中では、6つのテーマに関する24の論点について課題と提言を整理しています。

 

その中で、著作権の創作者の権利保護については、次のような内容が提示されています。

 

原典)

「NFTホワイトペーパー(案)」(概要版)、2022年3月、P5

https://www.taira-m.jp/NFTホワイトペーパー案20220330_概要版.pdf

 

著作権の創作者の保護について、NFT詐欺を防止するための本人確認の制度や、創作者の権利を十分に確保するための知財関連の法改正の必要性が提言されています。

 

参考)

著作権の歴史 聖書印刷からビッグデータ活用に至る軌跡を丁寧に解説

https://compliance.lightworks.co.jp/learn/copyright-history/

 

                                                                          (一色 正彦)

 

3.まとめ

ブロックチェーン、NFTとはどういう技術であるかを簡単に解説しました。

 

NFTは、ブロックチェーン技術により、権利の確保が難しい電子データに新しい価値を与える技術です。一方、所有権の移転問題、暗号通貨による決済など、制度上の課題やNFTを悪用した詐欺などが問題視されています。しかし、NFTを今後の新たなデジタル分野の情報革新と捉えた政策提言も行われています。

 

IoTからメタバース事業にも影響するブロックチェーンとNFTの今後の動向に注目してください。

 

今回で、IoT関連技術と知財関連の関係を解説した10回シリーズは終了しました。

これまで以下のような解説をしてきました。

 

 

第1回  IoT、DX、ビジネスモデル特許の関係についてわかりやすく解説します

第2回   AIとデータの著作権の関係について分かりやすく解説します

第3回  ソフトウェア・アルゴリズムと特許権・著作権の関係について分かりやすく解説します

第4回  IoTと商標権の関係について分かりやすく解説します

第5回  IoTと意匠権の関係について分かりやすく解説します

第6回  IoTと知財ミックスの関係について分かりやすく解説します

第7回  電子データと情報セキュリティの関係について分かりやすく解説します

第8回  電子データと個人情報の関係について分かりやすく解説します

第9回  サイバーフィジカルシステム&サイバーセキュリティについて分かりやすく解説します

第10回 ブロックチェーンとNFTの関係について分かりやすく解説します

 

 

これらの内容はIoT技術の基礎及び知財関連を学ぶのに非常に有益だと思います。

是非1度全てを読み直して、理解を深めていただければ幸いです。

これまでコラボ企画ブログをご愛読いただき、ありがとうございました。

また別の企画のブログ含め、ハートテクノロジーズ株式会社のサイトでは様々な有益な情報を紹介していきます。これからもどうぞよろしくお願い致します。

 

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