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IoT関連技術と知財関連コラボシリーズ企画第7回  電子データと情報セキュリティの関係について分かりやすく解説します

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一色先生と大森のコラボブログも7回目を迎えました。今回はデータの流れ、その電子データと情報セキュリティの関係について分かりやすくお伝え致します。

 

1.IoTにおいてデータはどう流れていくか?

前回の第6回において、IoTを構成する要素はハードウェア、ネットワーク、データ蓄積サーバ、データ分析サーバがあるという話をしました。

 

今回はこういった構成要素でのデータの流れに着目して解説したいと思います。

 

ハードウェアにおけるデータの流れ

IoTにおけるハードウェア自体様々なモノがあります。IoTのT=Thingsがハードウェアですので、インターネットに様々なデータを送る源がハードウェアになります。

 

ハードウェアの例としては、身近なものでは家電製品のIoT化が進んでおりますし、ロボット、自動車、電子錠、家具、工場設備、インフラ設備等様々な製品から大型システムまでIoTにおけるハードウェアに位置づけられます。

 

そして、こういったハードウェアの中の様々なデータを取得するデバイス(部品)がセンサーになります。

 

センサーにはイメージセンサー、温度センサー、電流センサー、重量センサー、加速度センサー、角加速度センサー、CO2センサー、等様々な種類があります。

 

こういったセンサーからのデータは、ネットワークを経由してインターネット側に設置されているサーバに送られるという流れになります。

 

そのためにハードウェア内のセンサーの情報は、同じくハードウェア内にあるマイクロプロセッサ内でいったんデータの取り込みをした上で、そのデータをハードウェア内にあるネットワーク通信用デバイスに送ります。

 

センサーからの情報はアナログ信号の場合と“10”の情報=デジタル信号の場合があります。アナログ信号の場合は、マイクロプロセッサに大概備わっているADコンバータというデバイスによってデジタル信号に変換された後、マイクロプロセッサからネットワーク通信用デバイスに対してもデジタル信号のデータが送られます。

 

ネットワークにおけるデータの流れ

ハードウェア内にあるネットワーク通信用デバイスからのデータがネットワークに流れて、インターネットに届けられる訳ですが、ここで記したネットワークは大きく2つの種類があります。

1つは有線通信ネットワークで、現代において一番代表的な有線通信ネットワークは光回線になります。

 

もう1つは無線通信ネットワークで、これには様々な種類があります。

その種類詳細は前回の第5回で記述させていただきました。

 

ここではネットワーク上でデータはどのように送られるかを簡単に解説します。

 

ネットワーク通信デバイスからデジタル信号データが有線通信の場合でも無線通信の場合でも、変調と行って、通信線にデジタル信号データを載せる処理を行なった上で、ネットワーク上にデジタル信号データが流れます。

 

インターネット側にもネットワーク通信デバイスが必ず存在し、そのネットワーク通信デバイスにおいてデジタル信号データが復調されて、コンピュータで扱いやすい“10”のデジタルデータに戻ります。そのデータがインターネットに備わっているデータ蓄積サーバ、データ分析サーバに送られることになります。

 

データ蓄積サーバ、データ分析サーバにおけるデータの流れ

このサーバの中では、送られてきたデータを分析したり、集計したり、加工したりと言う処理をいわゆるソフトウエアのプログラムによるアルゴリズムに沿って行ない、何らかの有益な情報データが作られることになります。

 

そのデータを 一般にはWEBサーバ、アプリサーバなどでパソコン、スマートフォンなどで観れる形に変換し、そのデータをパソコンやスマートフォンがWEBブラウザ若しくは独自のアプリケーションソフトウエアで閲覧することになります。

 

当然ながら人が簡単に見やすいようにデータがグラフ化され、用途によっては図になり、データのモニタリング、見える化が実現出来るというわけです。

 

このようにIoTにおいてデータがハードウェア→ネットワーク→サーバ→データをモニタできるパソコンやスマートフォン という流れで送られることになるわけですが、電子データに関しまして気を遣わなければいけないのが情報セキュリティになります。次章で解説致します。

                                                                           (大森 正)

 

2.電子データと情報セキュリティ

2-1.情報セキュリティとは

情報セキュリティは、企業が事業活動のために秘密として管理している営業秘密(トレードシークレット)の保護から始まりました。例えば、顧客名簿、独自の営業ノウハウ、特殊や製品の製造方法などです。これらの営業秘密は、企業の重要な情報資産です。

 

米国では、当初、営業秘密の保護は、各州法に基づき行われていましたが、1966年に初めての全米に適用される連邦法「経済スパイ法(Economic Espionage Act of 1966:EEA)」が制定されました。EEAは、ライバル会社による営業秘密の不正取得である産業スパイ対策を目的としており、厳しい懲役や罰金を含む刑事罰が定められています。

 

日本では、1934年に不正な競争を防止するために「不正競争防止法」が制定されました。その後、1990年の法改正により、営業秘密の保護が追加されました。更に、2015年の法改正により、営業秘密の不正取得などに、懲役、罰金などの刑事罰が追加されました。この法改正には、米国EEAや欧州各国で導入されている営業秘密の不正取得などに刑事罰が導入されていることが影響していました。不正競争防止法は、企業が情報セキュリティ対策に取組む背景となる法律です。

 

不正競争防止法以外にも、情報セキュリティ対策の指針として、2015年に経済産業省が提示した「技術流出防止指針」と「営業秘密管理指針」があります。これらの指針の背景には、日本企業の海外進出や人材流出により、営業秘密が流出していることへの危機意識がありました。

 

参考)

情報セキュリティの歴史 産業スパイから最新の脅威への対策まで解説

https://compliance.lightworks.co.jp/learn/information-security-history/

 

2-2. 電子データと情報セキュリティ

営業秘密は、当初、紙媒体で管理されていました。しかし、コンピュータとインターネットの登場により、営業秘密は電子データで管理されることが多くなりました。電子データにより、営業秘密の管理と活用の利便性は大幅に向上しました。一方、不正アクセスやウィルス侵入などにより、管理している営業秘密が漏洩するリスクも増大しました。

 

そのため、2018年、ビックデータやAIによる情報の活用形態が電子化していることを踏まえて、不正競争防止法の改正が行われました。この法改正の背景には、次のような違法コピーやプロテクト破りの事件がありました。

 

原典)

「不正競争防止法の概要」、経済産業省、知的財産制作室、P36

https://www.jpo.go.jp/news/shinchaku/event/seminer/document/chizai_setumeikai_jitsumu/30_text.pdf#page38

 

これらの事件を踏まえた法改正について、一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会(ACCS)は、コンテンツの著作権保護の観点から、次のようにコメントしています。

 

”今回の改正では、技術的制限手段の保護対象として、従来からあった映像やプログラムに加え、今後、付加価値の源泉となるデータの活用が見込まれる状況を踏まえ、新たにデータ(電磁記録に記録された情報)が追加されました。また、いわゆる「プロテクト破り」(技術的制限手段の効果を妨げる行為)を助長する不正競争行為の範囲を拡大し、効果を妨げる指令符号の譲渡、提供や、効果を妨げるサービスの提供等についても不正競争行為とするなど、コンテンツ保護がより強化されました。”

 

原典)

平成30年改正不正競争防止法が施行されました (ACCS)

https://www2.accsjp.or.jp/activities/2018/news105.php

 

一に知財と言われているのは、特許権、著作権などの「知的財産権」、または知的財産に営業秘密、ブランド、ノウハウなどを加えた「知的財産」です。さらに、人的資産、組織力、顧客とのネットワークなどを加えた場合は、「知的資産」と言われており、広い意味では知財の範囲です。

 

企業が持つ情報資産は、重要な知財です。情報セキュリティは、知財である情報資産を守り活用するための取組みでもあります。

 

参考)

知的資産・知的資産経営とは(経済産業省)

https://www.meti.go.jp/policy/intellectual_assets/teigi.html

 

                                                                         (一色 正彦)

3.まとめ

1章ではIoTにおける電子データの流れに着目して解説しました。

2章では、電子データと情報セキュリティについて解説しました。

 

企業が秘密として管理している営業秘密は、企業の重要な情報資産であり、知財でもあります。特に、電子データで管理されている営業秘密は、利便性が高い反面、漏洩や不正取得のリスクにさらされています。IoTサービスでも、電子データは付加価値の源泉です。そのため、情報セキュリティは、自社の情報資産を守ることに加えて、有効活用するためにも重要です。

 

次回予定

第8回 電子データと個人情報の関係について分かりやすく解説します。

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