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要件定義の歴史と現状の課題

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はじめに

最近ほとんどのシステム開発会社、ソフトウエア開発会社は、システム・ソフトウエア開発工程=スケジュールの最初のステップとして”要件定義”という工程を入れています。

 

しかし、2-30年前は、あまり要件定義という言葉は使われていなかったので、何時ごろから使われるようになった??というのを今回調べてみました。

この記事で紹介したいと思います。

 

2007年刊行の”共通フレーム2007”で”要件定義”が重要視される

 

日本において要件定義が重要視されたきっかけは、2004年に設立された独立行政法人 情報処理推進機構(Information technology Promotion Agency, Japan)=通称IPAが2007年に制定した【共通フレーム2007】において、”要件定義という工程が重要”だと記したことに始まります。

 

ちなみにIPAは、情報セキュリティ関連やソフトウエア開発ライフサイクルに関する様々な情報提供を行っています。

 

 

共通フレーム〇〇〇〇とは?

共通フレームはソフトウエアに関する様々な仕組みや用語を規定したドキュメントとして、古くはIPAの前身の組織が1994年に共通フレーム94を制定したことから始まり、
その後、

共通フレーム98
共通フレーム2007
共通フレーム2013

と制定されています。

 

なお、この共通フレームはすべてIPAで独自で作ったものではなく、世界的な標準機関であるISO/IECや日本のJIS規格を翻訳したり準拠して作成されてきました。

 

共通フレーム2007で要件定義が重要視された理由

 

それではもっと詳細に、”共通フレーム2007”でなぜ要件定義が重要視されたのかを調べてみたので記したいと思います。

 

共通フレーム2007において、はじめて”要件定義プロセス”というのが追加されました。

 

それまでは、ソフトウエア工学においては、要求分析→システム設計→詳細設計→テストというのが大まかな工程であり、要求分析という言葉は使っていましたが、”要件定義”という言葉はなじみありませんでした。

 

要件定義プロセスは、

”新たに構築する業務、システムの仕様を明確化し、それをベースにIT化範囲とその機能を具体的に明示すること”

と定義されています。

 

システム・ソフトウエア開発の品質を向上させるためには、ソフトウエアの詳細設計、コーディングよりも上流工程が重要であるという観点で、設計のための”要件”を”定義”することを上流工程として位置づけたというわけです。

 

なお、この要件定義プロセスは、もうひとつの作業として、”システム企画段階”と共に、”超上流”という工程に位置付けていますが、この”超上流”という言葉はあまり浸透しておらず、”要件定義”という言葉そのものが定着したと言えます。

 

 

現在の”要件定義”の状況について

 

共通フレーム2007で”要件定義”の工程が制定されて以来、この10数年で、”要件定義”はシステム・ソフトウエア開発会社で、当たり前のように工程に組み込まれるようになりました。

 

IT系、クラウドアプリ系だけでなく、組み込み開発の分野でも要件定義は当たり前のように組み入れられ、筆者もこの10年あまり数多くのソフトウエア開発会社と仕事をし、見積もりを頂戴する場合も、必ず要件定義という工程が組み入れられていました。

 

しかしながら、要件定義に関する具体的な作業内容については、システム・ソフトウエア開発会社によって大きくばらつきます。

 

きちんと要件定義をする会社もあれば、これまでのソフトウエア基本設計書とほぼ同じ内容を作成する会社もあります。

 

要件定義の進め方の質を上げることが重要!

 

残念ながらこの10年あまり”要件定義”という工程は入れたものの、きちんと”要件定義”ができていない会社のほうが多いというのが著者の印象です。

 

それゆえに、要求定義はどのように進めるのか?どのようにドキュメントとしてアウトプットするのか?についてシステム・ソフトウエア開発業界にもっと浸透させる必要があると感じています。

まとめ

 

・要件定義がいつごろから重要視されるようになったか調査した内容を説明しました。
・現在の要件定義の状況を記し、今後要件定義の進め方の質を上げることが重要という提言をさせていただきました。

 

 

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