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無線通信不具合解析に関する支援≪現場密着型顧問として≫

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ポッドキャストでも無線通信不具合について語っています

 

 

2019年以来、約4年半にわたり無線通信不具合に関して顧問として数多くの企業の支援をしてきました。

 

この記事では、これまでを振り返って、無線通信不具合解析支援に関して具体的にどのように行い、どういう点が企業様に喜ばれたかを記したいと思います。

代表的な事例として3つ取り上げたいと思います。

 

事例1 時々データが送られないという不具合の解析事例

 

事例1は、顧問エージェントを通じた顧問としての第一号のご支援でした。

 

問題点

企業様で作られていた業務向けシステムにおいて、”送信側から送られているデータが受信側で受け取れないという問題が時々発生する。

その原因が全くわからないので、助けてほしい” という支援依頼内容でした。

 

原因

このシステムで用いていた無線通信方式は、BLE=Bluetooth Low Energyという方式でした。

 

初回の支援日に、企業様から起きている現象を詳しく聞いた上で、推定原因として考えられることをすべて列挙しました。

 

無線通信は有線通信と異なり、障害物や他の電波の影響を受けて、データが受信側に届かないというケースは有線通信に比べて間違いなく多く起こりえます。

 

無線通信の方式においては、一般的に受信側にデータが届いたか届かないかを受信側からメッセージで返答してもらうことになっており、その返答が帰ってこなかったり、返答自体が、”データが間違ってます”とか”データが受け取れません”という内容であった場合に、送りたいデータを再送するという仕組みが備わっています。一般的に、この仕組みのことを ”再送”とか”リトライ”と称しています。

 

今回の問題は、この”再送”が頻繁に起こり、送りたいデータが送信側の”バッファ”(送りたいデータをため込んでおくメモリ部)にたくさん溜まったときに、溜まったデータを消してしまったり、上書きしたりするという原因で起こることがわかりました。

 

以下にイメージ図を記します。

 

無線通信が安定していて、データエラーが起きないときのシーケンス図のイメージです。

 

ところが無線通信が不安定で、データエラーが起きるときは、同じデータを何度も再送することが起こりえます。以下がイメージ図になります。

 

この状態において、送信側がアプリ部からのデータが無線制御部に頻繁に送られるような場合、無線制御部のバッファ(メモリ)がいっぱいになってしまい、

アプリ部からの新たなデータを受け捨ててしまうと言う問題が生じていました。

 

対策

 

一定時間に送信側のアプリ部が無線制御部に送るデータ量を減らすことによって、送信側の”バッファ”にデータがたくさん溜まることがなくなり、溜まったデータを消してしまうようなことも起きなくなりました。

 

教訓

無線上でデータエラーが頻繁に起きるような場合でも、送信側の”バッファ”がいっぱいにならないような設計をすることが重要です。

 

この問題解決が図れたことで、とても企業の方からは喜ばれ、ひいては顧問期間が延長するとともに、顧問エージェントの信頼度もアップすることが出来ました。

 

事例2:同じくデータが時々受信側に届かないという不具合の解析事例

 

問題点

送信側のデータが受信側に届かないときがあるという問題でした。問題自体は事例1と似ていました。無線方式はWi-Fiでした。

 

原因

ヒアリングすると、送信側と受信側の距離が結構離れていることがわかりました。

 

この問題は、送信側と受信側の距離が離れていて、データが受からないことがあるというのが根本原因でした。

 

企業の方々は、Wi-Fiなら50メートルは軽く飛ぶと思っておられましたが、そもそもそれが間違いでした。

 

 

Wi-Fiの様々な文献や記事を読むと、50メートルとか100メートル電波が飛ぶと書いてある場合が多いのですが、それは”見通し距離”と言いまして、まわりに障害物が無いという無線通信として一番良い条件のときの到達距離になります。

 

実際は室内だと、様々な障害物や人とかの影響で受信側に届く電波の強度は変動します。

 

そしてその変動の度合いによって一番電波の強度が落ち込む場合などには、送信側と受信側の基本的な無線通信自体が切れてしまって、受信側でデータが受け取れないと言うことが長く続くという問題に至ることがあります。

 

対策

 

送信側と受信側の設置距離を近づけるようにした言うのが一番の対策でした。

 

それに加えて、この企業様のシステムでは、データを送る頻度はそれほど多くなかったので、事例1とは逆に、データエラーが頻繁に続いたときでも、そのデータを従来よりも”しつこく”再送するような処置を入れることによって、問題解決をすることが出来ました。

 

教訓

室内においては無線通信は、室外に比べて電波が飛ぶ距離が短いと言うことをまず知っておくべきです。そういう環境であることを知った上で、無線機の設置場所を決めていく必要があります。

 

支援して2-3回目に原因が無線機間の距離であることが支配的であることをお伝えしました。結果その通りだったので、企業様側から喜ばれ、新たに無線通信に関するレポートをまとめる依頼をいただき、顧問期間の延長につながりました。

 

事例3:近い距離でもデータエラー、その上全くデータが通らなくなる場合がある

問題点

この事例は問題が2つありました。1つめは近い距離でもデータエラーが起きるという問題。 2つめは全くデータが通らなくなるという問題でした。

まずは2つめの方を解析してきました。

この事例は1.9GHzのデジタルコードレス電話の無線方式を用いたシステムで起きました。

 

全くデータが通らなくなる問題の原因

送信側のソフトウエア内部でのいくつかのブロック内で、データ通信エラーをきっかけに状態ずれが起きているのでは無いかという推測原因を提示して色々調べたところ、まさにそういう問題があることが発見されました。

 

全くデータが通らなくなる問題の対策

 

ソフトウエア内部でのいくつかのブロック内での状態ずれが起きないような処理をいくつか加えることによって、全くデータが通らなくなるという問題を解消することが出来ました。

 

近いのにデータエラーが起きる問題の原因

送信側と受信側の距離がわずか1メートル足らずなのになぜデータエラーが起きるかという問題に関しては、いろいろ実験を重ねました。

 

その結果、送信側と受信側が設置されている場所の下に例えば金属の床面などがある場合に、電波の反射が顕著に起き、受信側での電波が送信側から直接受けた電波と床に反射した電波の位相がちょうど逆になり電波が減衰することがある事がわかりました。

 

 

近いのにデータエラーが起きる問題の対策

 

こういう問題が起きている場所に置いては、少しだけ送信側と受信側の距離を変えてもらう事により、受信側で直接波が反射波によって弱まってしまうという状態を解消しました。

 

教訓

送信側と受信側の距離が近いときでも電波が減衰することがあり得ます。またデータエラーをきっかけとして内部ソフトウエアの複数のブロック内での状態ずれが起こりえるので、状態ずれがおきないような処理を加えることが重要です。

 

支援してから1-2回目で提示した推定原因が合っていたために、企業側からの信頼を得ることが出来ました。

 

今後の対策提案レポートのようなものを作ってほしいという依頼を受けて顧問期間の延長につなげることが出来ました。

 

まとめ:無線通信不具合対策は現場に向き合うことが一番重要

 

無線通信の不具合というのはなかなか原因がつかめないことが多く、様々な企業の方々が苦労しています。

 

今回紹介した3つの事例も、その企業様の中では問題解決が出来なかったために、顧問としての支援を要請されました。

 

支援において、どういう問題が起きているか、無線通信の方式は何で、設置環境はどんなところで、かつ無線通信を制御するソフトウエアの構造はどうであるか、などを知ることによって、問題解決をすることが出来ました。

 

無線通信不具合という結果が起きている場合は、必ずそうなる原因があるわけです。

 

技術、科学の世界では、必ず結果に至る原因というのは見つけられると思います。

 

原因を早く見つけるコツは、問題点を詳しく観察することと、制御の仕方を調査することだと思っています。

 

それを現場密着型顧問として、企業様の開発現場に寄り添って議論すれば、必ず問題の原因はみつかり、対策を打てますので、結果として企業様に喜んでいただけると思います。

 

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