無線LAN(Wi-Fi)のデータ通信速度と距離の関係
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目次
はじめに
無線LAN(Wi-Fi)は、私たちの日常生活に欠かせない通信手段ですが、その通信速度は使用する規格や環境に大きく依存します。
最新の規格である Wi-Fi 5(802.11ac)、 Wi-Fi 6(802.11ax)、そして Wi-Fi 7(802.11be) では、それぞれ異なる特徴があり、通信距離が離れるにつれて速度も変化します。
本記事では、各規格の特徴や通信速度、さらに距離や障害物の影響についてわかりやすく解説します。
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以下お聞きいただければ幸いです。
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Wi-Fi規格の進化と最大通信速度
Wi-Fi 5(802.11ac)
Wi-Fi 5は従来のWi-Fi 4(802.11n)に比べて高速化が進んでおり、5GHz帯を利用することで混雑が少なく、安定した通信が可能です。
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最大理論速度:
- シングルストリーム:433Mbps(5GHz帯、80MHz、256QAM変調)
- 4ストリーム(一般的な家庭用ルーター):最大1.7Gbps
- 8ストリーム(ハイエンドモデル):最大6.93Gbp
Wi-Fi 6(802.11ax)
Wi-Fi 6は、Wi-Fi 5に比べて同時接続台数の増加と効率的な通信が特徴です。また、2.4GHz帯と5GHz帯を両方使えるため、混雑時にも安定します。
- 最大理論速度:9.6Gbps(8ストリームの場合)
Wi-Fi 7(802.11be)
Wi-Fi 7は、さらなる高速化を目指し、320MHzのチャネル幅と4096QAMという高度な変調方式を採用。特にリアルタイムな映像配信やオンラインゲームなどに向いています。
- 最大理論速度:46Gbps(8ストリーム、5GHz・6GHz帯対応)
距離と障害物による通信速度の変化
Wi-Fiの電波は、距離や障害物によって減衰し、通信速度が低下します。
特に、Wi-Fi 5、Wi-Fi 6、Wi-Fi 7が使用するなかでも、5GHzや6GHz帯は、もう一つの周波数帯である2.4GHz帯と比べて壁や家具などの障害物に弱い特性があります。
適応変調と通信速度の変化
Wi-Fiは、距離が伸びると適応変調(Adaptive Modulation)により、使用する変調方式を低下させて安定した通信を維持します。これをロールダウンと呼びます。
大体の距離と変調方式の目安を記します(あくまでも参考です)
- 近距離(~5m):256QAM(最大433Mbps/ストリーム)
- 中距離(5~20m):64QAM(最大200Mbps/ストリーム)
- 遠距離(20~30m):16QAM(最大100Mbps/ストリーム)
- 30m以上:QPSKまたはBPSK(最大50Mbps以下)
電波干渉と通信速度の低下
Wi-Fiの速度は、他の電子機器やWi-Fiネットワークからの電波干渉によっても影響を受けます。
- 電子レンジやBluetoothデバイス:2.4GHz帯への干渉が多い
- 近隣のWi-Fiネットワーク:特にマンションやアパートでは、多くのルーターが干渉します
Wi-Fi環境を最適化する方法
1. Wi-Fi中継機やメッシュネットワークの利用
距離が遠い場所では、Wi-Fi中継機やメッシュネットワークを導入すると、家全体に安定した電波を届けることができます。
2. ルーターの適切な配置
ルーターを家の中央や高い場所に設置することで、電波の届きやすさを向上させましょう。
3. 周波数帯の使い分け
- 2.4GHz帯:壁や障害物に強く、遠距離でも通信が安定
- 5GHz帯/6GHz帯:高速だが障害物に弱いため、近距離での利用に最適
まとめ
Wi-Fi 5、Wi-Fi 6、Wi-Fi 7はいずれも高速通信が可能ですが、実際の通信速度は距離や障害物、電波干渉などの影響を受けます。
適切なルーター配置やメッシュ無線LAN、中継機の利用により、家、建物、使用する範囲全体で快適な通信環境を整えることが重要です。
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