なぜ今、「企業顧問」という働き方が選ばれているのか ──現場経験を価値に変える新しい選択肢
目次
はじめに~なぜ今、「企業顧問」という言葉をよく聞くのか~
ここ数年、「企業顧問」という言葉を耳にする機会が増えました。以前は、経営者の横に名前だけが載っている存在、いわば名誉職のようなイメージを持たれることも多かった言葉です。
しかし今、企業が求めている顧問像は大きく変わりつつあります。背景にあるのは、企業を取り巻く環境の変化です。
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新規事業に取り組まなければ生き残れない
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技術や市場の変化が早すぎる
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正社員を増やすほどの余裕はない
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しかし意思決定の質は上げたい
こうした状況の中で、「経験を持つ外部の人材を、必要な期間・必要な濃度で活用したい」というニーズが高まっています。
顧問に求められているのは「正解」ではない
企業が顧問に期待していることを聞くと、意外にも多くの経営者、管理者がこう言います。
「答えを教えてほしいわけじゃないんです」
では、何を求めているのでしょうか。
実際の現場では、
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情報は揃っている
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社内でも議論はしている
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選択肢も見えている
それでも、
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決めきれない
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話が堂々巡りになる
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最後の一歩が踏み出せない
という状態が起きています。
ここで必要なのは、「新しい情報」や「正解」ではなく、判断を整理する視点です。
現場で価値を出す顧問の共通点
これまで多くの現場を見てきて、価値を出している顧問には共通点があります。
それは、
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自分の意見を押し付けない
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現場の事情を軽視しない
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机上の理論だけで語らない
その代わりに、
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何が論点なのかを言語化する
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判断基準を整理する
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選択肢のメリット・デメリットを並べる
こうして、経営者が「自分で決められる状態」を作ることに注力しています。
これは、コンサルティングとも、名誉職的な顧問とも、少し違う役割です。
「現場密着型顧問」という考え方
私自身は、この関わり方を「現場密着型顧問」と呼んでいます。
現場密着型顧問とは、
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現場に入り
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会議や検討の場に同席し
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思考と判断に並走する
そんな存在です。
作業を代行するわけでも、答えを出すわけでもありません。
(注:技術的な現場密着型顧問の場合、”答え”の案を提示することはあります)
判断が止まっている理由を一緒に整理し、前に進める状態を作る。
この関わり方は、短期間のスポット相談から始まり、必要に応じて継続的な伴走へと発展することもあります。
企業顧問は「特別な人」だけのものではない
ここでよく聞かれるのが、こんな声です。
「顧問なんて、経営者経験者じゃないと無理ですよね?」
実は、そんなことはありません。
企業が求めているのは、
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特定分野での現場経験
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業界で積み上げた知見
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修羅場をくぐった経験
こうした “実務のリアル” です。
会社員時代に培った経験、プロジェクトでの失敗や成功、調整役としての立ち回り。
これらは、きちんと整理すれば顧問として十分な価値になります。
経験を「仕事」に変えるために必要なこと
ただし、経験があれば自動的に顧問になれるわけではありません。
重要なのは、
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自分の経験を言語化できるか
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どんな場面で役立つかを説明できるか
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相手の状況に合わせて使えるか
つまり、経験を“翻訳”する力です。
ここが整理されていないと、
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何ができる人なのか伝わらない
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価格がつけられない
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継続的な関係にならない
ということが起きます。
新しい働き方としての「顧問」
企業顧問という働き方は、単に「肩書き」を得ることではありません。
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自分の経験を社会に還元する
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必要とされる場所で関わる
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一つの会社に縛られない
そんな 柔軟で現実的な働き方の一つです。
これからの時代、「正社員か、起業か」だけでなく、その間にある選択肢として顧問という立ち位置を考える人は、さらに増えていくでしょう。
最後に
もし今、
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これまでの経験をどう活かせばいいか分からない
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今の働き方に違和感がある
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いきなり独立する勇気はない
そう感じているなら、一度立ち止まって整理してみる価値はあります。
答えを出すことが目的ではありません。前に進むための判断ができる状態を作ること。
それが、顧問という働き方の本質だと私は考えています。