知財調査の種類について
システム開発顧問関連仕事の仕方技術解説お知らせピックアップコラム
目次
ポッドキャストでも話してます
以下からお聞き下さい
↓
はじめに:知財とは何か?
今回は知財調査についてわかりやすく解説します。
まず、知財とは「知的財産権」の略であり、企業や個人にとって非常に重要な財産となります。知的財産権には以下のような種類があります:
特許
発明に関する独占的な権利です。
著作権
音楽、文章、映像など創作物に与えられる権利です。
商標
ブランド名やロゴを保護するための権利です。
意匠
デザインや形状などの美的特徴を保護するための権利です。
この中でも特に重要とされるのが「特許」です。
特許は「独占排他権」と呼ばれ、ある発明が特許として登録されると、他者がその発明を無断で使用することはできなくなります。
特許の持ち主が許可を与えない限り、その発明に関連する技術や製品を他者が利用することは違法となります。
特許を活用することで、有料のライセンス契約を通じた収益化が可能になり、また競合他社が同じ技術を使うことを防ぐことができるため、事業面でも大きなメリットをもたらします。
このように重要な知財を効果的に管理・活用するために欠かせないのが「知財調査」です。
知財調査の種類
知財調査は、発明の保護や事業の展開においてリスクを減らし、ビジネス戦略を最適化するために必要なプロセスです。ここでは、主な3つの知財調査の種類を紹介します。
1. 特許出願前調査:既存の特許を確認する
まず最も一般的な知財調査が、特許出願前調査です。この調査では、自分や自社が新たに発明した内容が、すでに他社によって特許出願されていないかどうかを確認します。
この調査を行うことで、次のようなメリットがあります:
- 既存の特許との重複を避ける
- 出願の無駄を省き、コストの削減ができる
- 発明が本当に「新規性」を持っているかを確認できる
特許の出願には時間と費用がかかるため、事前に他社の特許情報を調べておくことで、無駄な出願を防ぎ、ビジネスリスクを低減することができます。
2. 市場・技術領域全体の特許調査
次に紹介するのは、ある商品や技術分野全体に関連する特許を広く調べる調査です。この調査は、特許の出願前だけでなく、商品を発売する前にも行われます。
- 新製品を市場に出す際に、その製品が他社の特許権を侵害していないかを確認する
- 特許の状況を把握し、製品開発の戦略を立てる
- 市場における競合他社の技術動向を把握し、自社のポジションを見極める
このような調査は、市場全体のリサーチの一環としても重要です。企業がどの技術領域でどのような特許を取得しているのかを知ることで、今後の開発の方向性を決定する材料にもなります。
3. 出願後調査:審査請求の判断をサポート
特許を出願した後、次に行われるのが出願後の知財調査です。特許の審査請求は、出願から3年以内に行う必要がありますが、そのタイミングでの判断は重要です。
- 出願後、1年半は他社の出願内容が非公開のため、最初の段階では見逃している可能性のある特許が存在します。
- 審査請求を行う前に、他社の特許出願状況を再度確認し、特許取得の可能性を判断します。
もし他社が同じ技術で特許を先に取得している場合、審査請求を行わずにコストを節約するという判断も必要になります。
この調査は、戦略的な経営判断を支える重要な要素です。
まとめ:知財調査の重要性
知財調査は、企業が発明や新技術を事業に活用する上で、欠かせないプロセスです。適切な知財調査を行うことで、特許出願の成功率を高め、無駄なコストを削減するだけでなく、競合との戦いでも有利なポジションを確立することができます。
今回ご紹介した知財調査の3つの種類をまとめると:
- 特許出願前調査
自社の発明が既存の特許と重複していないか確認する。 - 市場・技術領域の調査
新製品の発売前に関連する特許を広く調べ、戦略を立てる。 - 出願後調査
審査請求の判断を行うため、他社の出願状況を再確認する。
これらの調査を適切に行うことで、企業はリスクを回避し、知財を活用した成長を実現することができます。
知財調査は企業の未来を左右する重要な活動です。これから新たな技術や商品を開発する際には、ぜひ今回の内容を参考に、知財戦略をしっかりと練り上げてください。
前の記事へ
次の記事へ